心が震えた話。

※独断と偏見で書いた単なる夏の思い出備忘録です。

 

Summer Paradise 2018 Travis Japan公演は、2018年8月18日13時に開演した。

 

Travis Japanと過ごす初めての夏に心を躍らせ、開演時間に最高の状態で会場にいられるように念入りに準備をしてその場に立ち、大好きな中村海人くん(以下うみちゃん)のダンスを、一生忘れられない最高のうみちゃんの姿を目に焼き付けようと意気込んでいた。

 

幕が下りて、赤いジャケットを着たTravis Japanがステージに見えた。うみちゃんはセットに座り、少し前に染め直した綺麗なさらさらの髪の毛を揺らしながら、ダンスをしていた。ああ、今日も最高のうみちゃんが見れてしまうんだな、私はなんて幸せなんだろうと少しウルウルしながらうみちゃんのことを見ていた。

これからダンスが始まるぞという時に、うみちゃんが話し始めた。

「すいません、中村足を怪我してしまいました。(以下省略)」

自分の中で時が止まった。え、どういうこと。

この後どのような展開になるのか全く考えられなくて、立ち尽くした。

そのまま公演は進み、うみちゃんは踊る曲はほとんど出てこない。

あれ、私今日何を見にきたんだっけ。

曲が始まる度に抜けてしまう うみちゃんを見る度に心が締め付けられた。

うみちゃんがいないステージを見て、うみちゃんが踊っているはずだった場所を見て、うみちゃんのパートを歌う他のメンバーを見て、涙が止まらなかった。

色んな色のスポットライトが当てられて公演は進んでるのに、ステージがモノクロに見えた。うみちゃんがいないTravis Japanを見ていられなくて、ずっと下を向いていた。大好きなユニ曲のハピグルもLock Lockもうみちゃんはいなかった。

もちろん、どうなってもいいもイツバも夜の海もいなかった。うみちゃんが踊っている姿が見えてきそうなくらい、しんどくてしょうがなかった。ああ、どうしよう、コンサートに来ているのに心がどんどん死んでいく。ごめんなさい。こんな顔で泣きながら見られても困るよね。ごめんなさい。何度もステージに立つアイドルたちに謝った。

 

うみちゃんの左足が踵をつけていないところを見たら、もうどうしていいかわからなくなった。うみちゃんのことを責められるわけがない。それでもステージに立ってくれているのだから。私にはうみちゃんの気持ちは一ミリもわからないけれど、ステージの裏で、出てこられないことを悔やんでいるかもしれないと思ったら、涙が止まらなかった。

うみちゃんが選んでくれた曲の中で、うみちゃんは「俺はこんなもんじゃねーぞ」と歌った。もうなんだかよくわからなくて、その場で倒れるかと思った。もうやめて。もうやめてよって。追い打ちをかけるように、踊らずにステージの中央でガイズを歌ううみちゃんを見て感情がぐちゃぐちゃになった。もう、もう見てられない。もうだめだ。もうここから逃げたい。このままの感情を抱えて会場を出ることに恐怖を覚えていた。そんな中、うみちゃんは最後に、「すごく悔しいです。この借りは絶対に返します。」と話してくれた。それだけで、私は救われた気がした。みんなが公演後、最高だったねって言ってる中でも、なんとか気持ちを抑えられた。あの言葉がなかったら、そのまま私はモノクロの世界を死んだまま生きていたと思う。

 

思い出すだけでつらかった公演が終わり、週明けの火曜日、休演日を挟んだ後の公演で進展があった。友だちから、うみちゃんが最後の3曲(どうなってもいい、イツバ、夜の海)以外踊っていると連絡があった。

え、ほんとに?ほんとに?ほんとに?何回も聞いた。ちゃんと踊ってたよ。と返事が返ってきて、恥ずかしい話だが、職場で泣いていた。良かった。良かった。みんなうみちゃんが踊ってるところ見れたんだね。うみちゃんも少しでも気が紛れてくれていたら嬉しいなと思っていた。本当はそれ以上に、もうあんな思いしなくて済むんだって、うみちゃんが踊ってくれるところ少しでも見られるんだって、すごく安心した。本当に安心した。

 

8月23日、私はTDCで開演を待っていた。今日はうみちゃんの踊っている姿が見られるだなあという期待と、うみちゃんが無理をしていてまた今日も踊っている姿が見られないのではないかという不安を抱えていた。

公演が始まって、前に見た時には捌けてしまったところでうみちゃんが階段を上がり始めたのを見て、視界が歪んだ。うみちゃん本当はそこに立つはずだったんだね。他の曲でも踊っているうみちゃんを見て、ああ、うみちゃんはそんな顔で、そんな体の使い方でパフォーマンスしたいと思っていたんだねって。最後の3曲を踊るうみちゃんは見られなかったけれど、どの曲を見ても、こみ上げてくるものがあった。自分の好きなアイドルがこうやってステージに立って、輝いてくれることが、こんなにも嬉しいことなんだと、幸せなことなんだと改めて実感した。その夜は、ただただうみちゃんがパフォーマンスをしてくれることが嬉しくて、私たちに頑張っている姿を見てくれることが嬉しくて、あまり寝られなかった。本当に本当に嬉しかった。

 

そして、最終日の昼、うみちゃんはいつもと変わらず、OP序盤で、自分は足を怪我しているが、頑張って踊りますと言い、公演が始まった。前日と同様にうみちゃんがうみちゃんの立ち位置で踊ってくれる喜びを一曲づつ嚙み締めながら見ていた。

最後の3曲の前の星屑のスパンコールを儚く力強く歌い上げたうみちゃんを見て、感動していた。ああ、今日もなんて素敵なんだろう、幸せだなと。ただ、うみちゃんはここで上手側からセットの裏に捌けていってしまうので、切なくなりながら目で追っていた。

ところが、その日は違った。いつもは捌けるはずのうみちゃんは、ステージの下手に移動して、どうなってもいいの立ち位置に付いた。人と人の間から、暗転したステージの上で、立ち位置に立つうみちゃんがまっすぐ真正面に見えた。信じられなかった。目で追っていたけれど信じられなかった。再びライトが点くと、ステージにうみちゃんがいた。幻を見ているのかと思った。人生で初めて心が震えた。涙が止まらなかった。3曲進んでいくごとにボロボロ涙が出てきた。うみちゃんが強く踊る姿を見て、手が震えて、爪が食い込むくらいに手を握りしめていた。ハンカチが水に浸けたかのように濡れていた。うみちゃんが踊ってる。うみちゃんが昨日は空いていた立ち位置にいる。昨日は幻想まで見えた大好きな振りをうみちゃんが踊っている。うみちゃんが、うみちゃんが、うみちゃんが、、、。一週間抱えてきた苦しい思いが全てこみ上がってきた。どうなってもいいもイツバも信じられないくらい震えたけれど、初めてうみちゃんが踊る夜の海を見て、こんな風に表現するんだね、こうやって準備してくれたんだねって、嬉しいという言葉では表しきれないほど幸せな気持ちになった。こんなにも幸せな気持ちを味わってしまっていいのだろうかと思ったほどだった。

  

公演後、初日の自分とうみちゃんを抱きしめてあげたくなった。うみちゃんにたくさんたくさんありがとうを言いたくなった。うみちゃんに心震えたことを伝えたくなった。うみちゃんにもっと輝いてほしいと思った。うみちゃんのこともっともっと大好きになった。

 

苦しくて、申し訳なくて、しんどくて、つらかったけれど、その分だけ、たくさんたくさん幸せな気持ちがこみ上げてきた、心が震えた、この夏のことを一生忘れないと思う。

 

おわり。